人気お笑いトリオ「森三中」の大島美幸が、2014年公開の「福福荘の福ちゃん」(藤田容介監督)で“丸坊主のおっさん”役で映画初主演を果たすことがわかった。クランクインを控えた10月20日、報道陣を前に公開断髪式を行い、「丸坊主は10年ぶり。髪は女の命と言いますが、いざ切ってみると何 だか楽しい気分。いろんな意味で“初めて尽くし”でどう緊張したらいいかもわからない状態ですが、今は『やったるで』という気持ち」と清々しく語り、「主演男優賞? いいですね。狙っています!」と気合十分だった。
大島が演じるのは、おんぼろアパート「福福荘」に住む塗装工の福田辰男。福ちゃんの愛称で親しまれる中年男性で、昼間は仕事で汗を流し、夜はアパートの住人同士のトラブルを仲裁。休日には河原で自作の凧をあげる、平凡な毎日をおくっているという設定だ。大島主演を前提にオリジナル脚本を執筆した藤田監督は、「女が男を演じる映画。危険な賭けですが、大島美幸さんなら大丈夫です。もし断られたら、成立しなかった。完全にあて書きで、代役は考えられない」と異例の大抜てきに自信を示す。断髪式にも同席し、その自信は確信に変わった様子だ。
大島はコントなどで男性を演じた経験があり、「オファーをいただき、この1カ月くらいは大股を開いたり、だらしない生活です。オーガニック食材もやめて(笑)、手当たり次第に食べている」と役作りにも余念はない。早くも周囲の反応は上々で「椿鬼奴さんも『やっと美幸ちゃんのことをわかってもらえる機会がきた』と喜んでくれた」と笑顔で話していた。
断髪式には共演する水川あさみと荒川良々も駆けつけ、大島の頭にバリカンを入れ「とってもお似合いです! 大島さんが福ちゃんになる一歩を一緒に踏み出すことができた」(水川)、「僕と大島さんが似ている? それは光栄です。一緒にお風呂に行きたいです」(荒川)とすっかり意気投合していた。
水川は福ちゃんの初恋相手で、女性不信の原因を作った中学時代の同級生?千穂を演じ「いわゆる普通の女性だけど、過去の福ちゃんをいじめてしまった贖罪から、大人になって再会し、福ちゃんの素敵な心にひかれていく」と役どころを説明。大島との共演に「とにかく楽しみ。個性豊かな現場で、自分がどういった個性を出せるかが課題」と意気込んだ。
福ちゃんの友人?シマッチ役の荒川は、藤田監督の「全然大丈夫」(08)にも出演しており「藤田さんの作品には特別な思いがあり、また参加させてもらえるのは自分へのご褒美だと思っています。今から楽しみで仕方ありません」。藤田監督も「大島さんと水川さんで、最高の2ショットが撮れそうです。主人公の親友役は、僕が絶大な信頼を置いている荒川良々くん。大島VS荒川の掛け合い、面白くないはずないです」と異色のアンサンブルに期待を寄せていた。
10月23日にクランクインし、11月上旬の撮了予定。14年の全国公開を前に、すでにドイツ、イギリス、イタリア、台湾などで公開が決定しており、他国からもオファーが殺到しているという。